研修のオンライン化が進むことは非常に便利で良いことです。ただ、受講者の気づきや成長にしっかりと繋がったのかをしっかりと考えることも、とても重要です。また、単に研修を実施することだけでもなく、狙いを定めて育成施策を打つことは、受講者の成長は勿論、中期的にはOJTを行う現場の皆さんの負荷軽減にもなります。
そこで我々は、
[1] そもそも研修の仕立て
[2] 現場を巻き込んだ研修間の取り組み
[3] 他者評価の効果測定
を上手くつなげて、成長を促す仕組みづくりをお客様と共に構築してきました。
お客様 | 一部上場 専門商社 |
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対象者 | 新入社員約40名 |
目標 | 責任・期待を認識・自覚し、それらを果たすために必要な思考・行動を主体的に選択できる状態 |
環境 | すべてオンライン |
設計の中で、目的、目標をすり合わせるのは勿論です。その上で、
等、工夫を重ねました。
研修をやりっぱなしにはせず、“接続”させていくことが最も神経を注ぐ部分です。
研修間の論述レポートのテーマは、受講者のお仕事との兼ね合いからベストバランスを模索していきます。
受講者が研修で考えたこと、課題にどう向き合ったのかを知ることも、学びを最大化するために必要な情報です。
そこで、4月の導入研修時での新人の皆さんのレポートの総文字数を並べてみました。
文字数が全てではありませんが、合格ラインに達している方のほとんどが、しっかりレポートに向き合ったことがうかがえます。
逆に、残念ながら合格ラインに達していない方は、文字数が少ないことが見受けられます。
次に、合格者と、不合格者のレポートをワードクラウドで比較しました。
ここで注意深いことは、合格者の方が、ポジティブネガティブ関わらず、ご自身の感情をしっかり表現している、ということです。
これは、自分ゴトに置き直してしっかり考えているのではないか、考えているからこそ、感情の起伏がレポートに表現されているのではないか、と捉えています。
次に、研修間の課題についてです。お客様の状況やお仕事の状況、研修内容と紐づけて研修間の課題を設定します。
中だるみしないよう、人事の皆さんのご協力を賜り、論述レポートについて新人一人ひとりに30分フィードバックをお願いをしました。
改めまして、文字数の変化を見てみましょう。
回数を重ねるごとに文字数が増加していきました。勿論文字数が全てではありません。ただ、回を重ねるごとにレポートが骨太になっていく印象を受けました。
また、内容が良かった論述レポートを研修で取り上げ、どこが良かったのか、講師からフィードバックをしました。
このようなスポットライト効果によって、選ばれた方はポジティブに捉えてくれます。そして、他の受講者は、その“差”を知ることによって、求められている基準値を知ることになります。
このような相乗効果を狙った設計と実行を行っています。
最後に、周囲からの360度評価の結果です。
平均で見ると3.6 → 3.7 → 4.0と上昇していきました。
それぞれ成長のスピードは異なりますが、全体として数値が上がっていったことを、受講者にちゃんとフィードバックします。
このような情報公開が、受講者皆さんの成長実感に繋がったと思います。