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Will中心の時代に、あえてCanの話をしたい

新田 光勇
新田 光勇
2026.05.03

▼Will中心の流れには、ちゃんと共感している
最近、研修の場でも、企業の戦略の話でも、「Will」という言葉をよく耳にするんですよね。
新入社員研修ではWill・Can・Mustのフレームを使う場面が増えたし、
企業側もウェルビーイングや個の尊重という流れの中で、
「一人ひとりのWillを大切にしよう」という方向に舵を切っている。

ぼくは、この流れ自体は、とても良いことだと思っています。

社会も顧客のニーズもこれだけ多様になっている中で、
その多様性に価値を提供し続ける企業もまた、多様性を帯びていないと適応できない。
だから、従業員一人ひとりのWillに目を向けるという戦略は、合理的だと思うんです。

ただ、最近ずっと引っかかっていることがあって。今日はそのことを書いてみたいと思います。


▼Willって、そんなに不変なものなんでしょうか
Willを問う場面に立ち会っていて、ふと思うんです。
「あなたは何をしたいのか」「5年後どうなりたいのか」を問われた人が、
ちょっと困ったような顔をする瞬間ってあるんですよね。

それは、その人にWillがないからではないと思っています。
むしろ、Willを”今この瞬間に持っている固定の何か”として扱われていることへの、
無意識の違和感じゃないかと。

ぼくは、Willって普遍のものではないと思っているんです。
むしろ、見える景色が変わるたびに更新されていくもの。
昨日まで興味がなかったことに、今日突然惹かれることもある。

逆に、ずっとやりたいと思っていたことが、ある日ふと色あせて見えることもある。

つまりWillは、”持つもの”というより”育つもの”なんだと思います。


Canが増えると、Willが勝手に更新される
じゃあ、何がWillを育てるのか。
ぼくは最近、それは間違いなくCanだと感じています。

新しいことを知ったとき、新しいスキルが身についたとき、
これまで見えなかった景色がふっと見える瞬間ってあるじゃないですか。

そのとき、人は不思議と
「あ、これもできそうだな」
「だったら、こういうこともやってみたいな」
「これとあれを組み合わせれば、あの課題が解けるんじゃないか」
と、勝手に考え始める。

つまり、Canが広がると、Willのほうが追いかけてくる。

Willを内省で掘り下げようとすると、どこかで枯れる。
けれど、Canを広げると、Willは勝手に育つ。

これ、最近すごく感じていることなんですよね。


▼Canを育てない人のWillは、たぶんいつか色あせる
逆も言えるんですよね。
Canを増やす努力を止めた瞬間、Willも更新されなくなる。

10年前の自分が描いた「やりたいこと」を、
10年後も同じトーンで語っている人を見ると、ぼくはちょっと心配になります。

それはWillが強いのではなく、
Canが固定された結果、Willの解像度も止まってしまっているのかもしれないと。

Will中心の時代だからこそ、そこの落とし穴は意識しておきたいなと思うんです。


▼会社がCanを育ててくれる時期は、思ったより短い
ここからは、もう少し現実的な話を。
キャリアの早い段階では、会社が一定の支援としてCanを育てる機会を用意してくれます。
研修もあるし、OJTもあるし、上司のフィードバックもある。

でもこれって、思っているより短い期間で終わるんですよね。

ある時期から、会社が用意してくれる学びは、明らかに減っていく。
そして、その減ったタイミングで自律的にCanを育てる習慣を持っていなかった人は、
Willも一緒に止まっていくのを、ぼくは何度も見てきました。

結局、自分が投資したもの以上のものは、自分には返ってこない。

これは厳しい話ですが、同時にフェアな話でもあると思っています。
会社のせいにしても何も変わらないし、社会のせいにしても何も変わらない。

Canを広げる時間を、自分の生活のどこに埋め込むかを決められるのは、自分だけです。


▼最後に
Will・Can・Mustのどれが先か、どれが偉いかという議論は、たぶん不毛だと思っています。

ただ、Will中心の時代だからこそ、ぼくはあえてCanの話をしたい。

Willは、内省では育ちにくい。
Willを育てるのは、Canの拡張だと感じています。

そしてCanの拡張は、誰かがやってくれるものではなくて、
自分が時間とエネルギーを投資した分しか返ってこないものだと思います。

「やりたいことが分からない」と感じている人に、ぼくが言いたいのは、たぶんこれです。

Willを掘る前に、Canを広げてみませんか。

そっちのほうが、たぶん早いです。

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