Blog

ブログ

企業研修に携わっている私が、研修業界に対して思うこと

古田 聡
古田 聡
2026.03.02

皆さんこんにちは!スタンス古田です。
厳しい寒さが和らぎ、春の足音がすぐそこまで聞こえてまいりました。 多くの若人が新たな門出を迎えようとしているこの季節。街に溢れるフレッシュなエネルギーに心躍ってしまいます。

さて、今回は僕らが仕事をさせてもらっている研修業界について思っていることを書こうと思います。以前、【企業担当者に対して思っていること】を書いたその続きです。
もしかしたら批判的なイメージを持たれるかもしれませんが、その意図は全くありません。むしろ当事者としてこれらの問題に対して向き合っていきたい、という宣言でもあります。

さ、今回もいくぞ~!
テッテレ~!

▼「輸入」と「適応」だけの日本の人材育成の現在地

我が国における人材育成の潮流は、その多くが海外からのトレンド移入、あるいは政府の指針への適応に終始しているのが現状です。 前者であればATD-ICEのような国際会議での発信やトレンドが大きな影響力を持ち、後者であれば「人的資本経営」や「社会人基礎力」といった国策が指針となります。

言い換えれば、日本の育成現場は常に「他者からの影響」にさらされており、良くも悪くも多分に政治的な文脈に翻弄されていると言わざるを得ません。 こうした受動的な姿勢が続く中で、日本独自の教育哲学やテーマを世界へ発信できていない現状に、私は拭いきれない物足りなさを感じています。
(なので、政治のいわゆる保守派・リベラル派の政権によって、人材育成の新しい?テーマがしばらく時が経ったにやってくる場合が多い)

▼90年代から続く「概念」の議論。その終着点は「綺麗な言葉」でいいのか

マネジメント、リーダーシップ、キャリア…。これらは人材育成の世界で幾度となく語られてきたテーマです。 歴史を遡ればその思想は古くから存在しますが、日本において一般化し、定着を見たのはバブル崩壊後の90年代以降のことでしょう。

時代の変遷とともにこれらの概念は過去の考え方を踏襲しつつも、刻々とその色合いを変え進化を遂げてきました。その変化自体は必然である一方、ふと「単に表現を挿げ替えているだけではないか」という疑念が頭をよぎることもあります。
(厳密にいえば差異はあるものの、本当に微細)

同時に、「正解を導き出すこと」を避け、「考えることが大事」という美しい言葉で議論を締めくくってしまう風潮に、どこか釈然としない、割り切れない思いを感じずにはいられません。

▼研修講師が提示すべきは理論か、仮説か

現在の人材育成研修を概観すると、その多くが心理学的なフレームワークや理論を解説して締めくくられることが多々あります。 ただそれらが、受講者一人ひとりの切実な悩みを解決する「解」になるとは限りません。

何より大切なのは、受講者の仕事や事業を理解しようと努力し、実務の景色を共有しながら言葉を交わすこと。そして、受講者のお悩みに対して研修講師が「仮説でもいいから、自分なりの答えを出す」という姿勢を持つことだと思うのです。

こうした踏み込んだ発信が難しい背景には、研修の「パッケージ化」と講師の力量(経験値・実感値)不足があります。パッケージ商品は販売効率には優れますが、個別の現場に合わせた微調整が利きにくい。その標準化された内容が、果たして真に機能しているのか、私は疑問を禁じ得ません。同じことは講師という役割の人たちにも言えると思います(自戒を込めて)。

▼定説を疑うことから始まる「育成」のアップデート

人材育成という領域は、驚くほど権威主義的な側面を持っています(この業界に転職した時のその衝撃は、今でも覚えています)。「高名な学者が提唱した理論だから正しい」と、検証なく無批判に受け入れてはいないでしょうか。これこそが心理学でいう「権威の影響力」そのものであり、残念ながら、この業界に携わる多くの人々が、その魔力によって思考停止に陥っているように思えてなりません。

私はあえてその風潮に抗い、心理学や教育学の定説をデータで可視化し、現代における再現性を検証しています。
例えば、有名な「エビングハウスの忘却曲線」では、1ヶ月後の記憶保持率は約20%とされています。しかし、私たちが提供する研修スキームでは、2〜3ヶ月が経過した後でも60〜70%という高い記憶保持率をデータとして実証しています。

この事実は、業界で語られる古い理論やフレームワークが、必ずしも現代の最適解ではないことを示唆しています。過去の理論を盲信するのではなく、現場の事実に即して知を更新し続ける。それこそが、この業界に携わる人間が自らの手でアップデートしていくべきではないでしょうか。

(ちなみに、エビングハウスの忘却曲線は、1885年に発表!140年前…さすがに古すぎでしょう。それが今でも研修で使われていること自体がアップデートしてきていない証左でしょう。)

▼研修を「学びの場」から。「殻を破るきっかけの場」へ

こうして既存の体制にぶつくさ言っているけど、「じゃお前は何をしてんのよ?」という声が聞こえそうです(笑)。

私が目指すところは、至ってシンプルです。

「人はどうすれば成長するのか」という問いを、ただひたすらに極限まで突き詰める

そのために心理学や教育学の知見を深く吸収し、それらが真に正しいのか、再現可能なのかを、お客様にご協力いただきながら自らの手で検証し続けています。可能な限りデータに基づいた「事実」を掴み取ることに、妥協はしたくありません。

私たちの役割は、研修を知識のインプットの場だけにはしない。
受講者が研修の場だけでも確かな成長のきっかけを掴めるような、「成長の加速装置(アクセラレーター)」として機能させること。
それこそが私たちが提供する研修の唯一無二の価値なのだと信じ、研鑽を重ねていきます。

Contact

お気軽にお問い合わせください

まずは相談する